東京展 於国立新美術館
日展が2021年10月29日より11月21日まで国立新美術館にて日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の五部門において開催されました。日展は当初文展(文部省美術展覧会)として発足し、以降帝展(帝国美術院展覧会)、日展(日本美術展覧会)などいくつかの改組、名称変更を経て現在に至っており、1907年第一回文展から114年を迎えた日本最大規模の総合美術展です。ご存知の通りここに参加し活躍してきた有名な芸術家が相当数おり、一人をあげると切りなく皆挙げなくてはならないので明記しませんが、長きにわたり日本の芸術をリードしてきたことは周知の事実です。
現時点では東京展は既に閉幕しておりますが、以降巡回展で、京都、名古屋、大阪、安曇野、金沢と続きます。
今回も大変見応えのある日展を観させていただき、もの凄いエネルギーを感じて帰って来ました。3時間半会場におり、五部門を全て観てきましたが、次から次へと作品を見ないととても周り切れません。じっくり満足の行く鑑賞をするとなると丸2日はかかるでことでしょう。国内外の有名な美術館はどこもしかり、また私の専門の書においては、一昨年西安碑林博物館にまいりましたが、彼の地もやはり丸一日は必要でしょう。じっくり見ると2日は必要です。行程上3時間程度しか居られなかったのが残念です。一箇所に3時間もいると、ちょっと疲れも出てきます。熱中して見ると、それ以上の時間はむずかしいでしょう。実は私も今回は限界を感じ、また撮影をするスマホのバッテリーもなくなり止む無く帰ることにしました。
国立新美術館書の出入口ではその場を通り過ぎるだけでセンサーが体温を測定する設備が整っておりましたが(私は両方とも36度を切るくらいの体温でした)、この方式はどこでも普通にやっていることなのでしょうか。何だか過去から現代に飛んできて新しいものに感動したような気持ちになりました。
このリポートは、個人の目線で書かせていただいております。文化芸術をより多くの方々に受け入れ楽しんでもらうことで、少しでも生活の中にこの要素を取り入れていただき充実したひと時を過ごしていただきたいと思います。できるだけ構えずにリラックスして愉しむ。ある展覧会がある・・・じゃ行って見ようかと、いつでも気軽に足を運んでもらいたいです。さらに、子供の頃からそのような環境にいられたらきっと素敵な人生になって行くことでしょう。
以下に紹介する作品は、あくまでも私が興味があるもので、技術的レベルとか、作品の価値とかには一切関係ありません。掲載するのは極々僅かであります。ただし、上位入賞者の作品はできるだけ紹介します。そして、実物の方が間違いなく素晴らしいものであることを申し上げておきます。このブログをご覧いただく方はそもそも何らかの芸術に興味があることと思いますが、それでも一年で何回展覧会に行かれるでしょうか。目の前で見ることは素晴らしい感動を呼び起こし、自身の内部に大きな変化をもたらします。生活の一部として、月に一度は展覧会や芸術の催事に足を運んでいただきたいと思います。また、旅行に出かけるときは、少し足を伸ばして近くの美術館に立ち寄ってみて下さい。行けば作家のエネルギーを貰うことができます。何より作品から回想とか、時間の流れを感じるのは素晴らしいことと言えます。
成績優秀者
日 本 画
工芸美術
陶器を見るようにゆっくりと時間をかけて観たい部門です。彫刻同様ゆっくり見るとすぐに1時間が経ってしまうのでここはざっと周り、目に留まったものだけを観ました。しかし案の定最初に見つけたものにとらわれてかなりの時間をかけてしまいました。この分野における鍛金・彫金・鋳金や漆、織、染などじっくり見られず残念な気持ちです。また一部の写真に照明が反射して写り込んでおりますがご容赦ください。
洋 画
彫 刻
個人的にはかなり注目していました。やはり1時間を過ごしてしまうことになりました。何が惹きつけるのか・・・
やはり、人間像が多いのですが、全体から伝わってくるエネルギーを感じる作品が数多く展示されており、悉く強く引かれます。体の各部位、顔、肩、胸、腕、腹、お尻、太もも、足、指など全部見て、それに物腰、表情、目力、なども見て、あとは黙って一緒にいる。何かこう、伝わってくるんですね。私は日々庭仕事をしているのですが、樹木や花など、特に木の幹などを触っていると息遣いが伝わってくるように感じるのです。ああ、なんか動いているなあ、生きてっるなあって感じで。気持ちが落ち着き、安心感を抱き、またパワーも貰えるんですね。それと同じ気持ちにさせてくれるのが彫刻です。1分くらい側に立って、それから顔に50cmくらいまで近づいてみる。すこくリアルですよ。ほとんどの彫刻が生きているように感じてきます。話している感じですね。この場で話すとちょっと異様ですから話しませんけど、元気?くらい目で語ってもいいと思いますよ。こんな感じで寄り添って見てください。できるだけ顔の表情を掲載します。当たり前のこと言いますが、観るアングルで表情って変わるんですよね。ちょっとずらしただけでも・・・。
書
美味しいものを最後まで取って置く感じでやっとたどり着くようにここにやって来ました。
時間が昼前後であるためなのか思った以上に盛況でした。今日は最後に書を見たため疲れもあり、そしてバッテリー不足のため思うように作品を撮りきることができませんでした。また帰宅してわかったのですが、残念なことに撮影不良やうっかり撮り忘れてブログに掲載できない作品も多々ありました。そのような中、毎年拝見している二十人展に出展されている先生方の作品をじっくりと見ることができました。これが凄い・・・のですが、やはりパッと目に留まる作品はおよそ二十人展の先生方の作品です。やはり凄いんだなあと改めて思いました。流石の一言につきます。東京では毎年日本橋の高島屋でお正月に開催されていますのでこちらも是非ご鑑賞ください。現在の日本の書作展の中で最高峰と言われる展覧会です。
日展作品集によると、応募点数8,518点、入選率約13%と大変厳しい狭き門であったと言えます。どれだけのパワーを必要としたことでしょうか。各部門全ての作家に言えますが、生活の中で最優先して創作に取り組み、いつも頭の中は作品の構想でいっぱいで、多くを犠牲にして何ヶ月も妥協と戦い抜いてきた方々ばかりです。自然と作品にパワーがみなぎります。
▪️か な
個人の独断で選択した書を紹介します。優れた書がたくさんあり全てを掲載できないことをご了承ください。
私の独断で部門に分けていますがこのような部門別の展示は篆刻と巻子や折本装など小型の作品のみであったと思います。
▪️ 巻子 / 折本装
▪️小字数
▪️漢字多字数
漢字作品は個人的な好みで蘇軾や黄庭堅や王鐸風なというか、そういう気配を感じるものがどうしても目に留まり、足もそこで止まってしまいます。
▪️漢字仮名交じり
石飛博光氏(先生と呼ぶべきですが)の作品を一番長く見ていました。
最後までご覧いただきありがとうございます。日展の以降の巡回展、また来年の展覧会も楽しみにしています。皆さんも是非足を運んでください。
2021年11月23日
菊地雪溪
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